オリジナル小説

離され島冒険記第三部「国興」

離され島冒険記第三部「国興」b-4鍛鉄3

天の龍、すなわち流星が落ちた場所。昼過ぎにその場所に辿り着いた僕らは、穴が川に抉られてすっかり広く深くなっていることに驚いた。龍ヶ淵。その場所のことを僕らはそう名付けた。
離され島冒険記第三部「国興」

離され島冒険記第三部「国興」b-3鍛鉄2

「父さん、自分達だけでやってみるよ」 炉の向こうで星屑石を打ち掻いている父に僕は言った。 「そうだな、やってみることだな」 父は手元を見ながら言った。
離され島冒険記第三部「国興」

離され島冒険記第三部「国興」b-2鍛鉄1

満月の晩、僕とケン、そしてソウの三人は村中の男衆が集まる会合に参加した。僕らは腰にそれぞれ剣を下げ、一方の手で星屑石を仕込んだ杖を握っていた。
離され島冒険記第三部「国興」

離され島冒険記第三部「国興」b-1帰路6

この川をたどれば故郷の村に行き着くことができる。少しでも早く村について、母さんや父さん、そして、長く離れている友人達に会いたい。そんな思いを胸に抱きながら、僕達は木の根を超え、春から夏に向かう季節の中で鋭く切れやすい葉を伸ばしつつある草を掻き分けながら進んだ。
離され島冒険記第三部「国興」

離され島冒険記第三部「国興」a-9帰路5

「ああ、星屑石の村か。それでここにいたのか」 男はほっとしたようにそう言ったのだった。 「え、星屑石の村をご存じなのですか?そこにはどうしたら行けるのでしょうか?」 僕は息せき切って男に尋ねた。
離され島冒険記第三部「国興」

離され島冒険記第三部「国興」a-8帰路4

米が実る草は稲と呼ばれていた。草取りをしながら僕らは米の育て方を教えてもらった。一緒に働いているうちに頼りにしてもらえるようになったらしく、田んぼの修繕も手伝うことになった。田んぼを囲む堰は畦と教わった。
離され島冒険記第三部「国興」

離され島冒険記第三部「国興」a-7帰路3

「まさか大陸の者じゃあるめーな?」 大きな身体をした男が、こちらに向かって走りながらそう言った。慌てて逃げようとした僕らだったが、男の発した大陸と言う言葉に、ふと、立ち止まった。
離され島冒険記第三部「国興」

離され島冒険記第三部「国興」a-6帰路2

「米どろぼう、はっきりとは判らなかったけれど、そう言っていたような気がする」 ソウが答えた。その言葉を聞いて僕は顔を上げた。
離され島冒険記第三部「国興」

離され島冒険記第三部「国興」a-5帰路1

岩に当たって砕ける波を見つめながら、僕らは慎重に岸に近づいていった。この先、当分の間は海岸沿いに筏で移動しなければならない。波間から顔を出す小岩や林立する大岩にぶつけて筏を壊してしまっては、元も子もない。
離され島冒険記第三部「国興」

離され島冒険記第三部「国興」a-4帰郷4

「まったく男の子って」 ここにテラがいたらそう言っただろう。夜明け前にコウとサイがこっそり渡してくれた干し魚を腰に下げて、僕らは道なき道を急いだ。
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