離され島冒険記第二部「大陸へ」4-5.あとがき

離され島冒険記第二部「大陸へ」

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離され島冒険記第二部「大陸へ」を最後までお読みいただいた皆様に御礼申し上げます。

当作品はオリジナルを世に出したいと思い続けて20数年にして、ようやく天から降りてきた物語です(詳細はAMAZON KINDLEによる電子出版「離され島冒険記」にて)。その時点で、最初から最後まで凡その流れができていたのですが、いくつかの点で私自身が設定を考える必要がありました。

一つがラウト。海洋民族としての彼の存在は、日本と同様に多くの島嶼を抱えるインドネシアについて文献を集め、旅した経験から来ています。インドネシアのバリ島中部に位置するアグン山は島民にとって精神的支柱のようなものになっています。数々のバリ島にまつわる文献を漁る中で、アグン山が見えない場所に行くと落ち着かない気分になるという記述や証言に度々接してきました。星が見えなくなることにより自分の居場所がわからなくなりうつ状態になるというラウトの話は、そこからきています。尚、ラウトとはインドネシア語における「海」です。

次に舞台が大陸に移ったこと。離され島の子供達とその冒険記が降りてきた時から、鉄製品の生産方法を学び取り入れるという大筋は存在しておりました。そこに、「どこで」という設定が必要と気がつき、「大陸」という舞台が加わったのは、割合最近のことなのです。「人を騙して得をする」ことについての善悪は、そうは単純ではありません。世界には文化も考え方も違う国があるという事を子供の内に物語を通して知ってほしい。そんな願いを込めて海外に場所を移すことにしました。

最後に物語中で大事な役割を担う「白黒」という盤上勝負について。大好きな登場人物達に殺し合いをさせたくないという思いで考え出されたこの場面。これは囲碁をモデルとしています。世界一古いボードゲームと言われる囲碁は、紀元前500年より前に存在していたことがわかっております。石器から鉄器へ移り変わる時代を舞台とするこの物語の設定とも整合性がとれます。現在、初手が黒と決まっている囲碁ですが、紀元前においては、四隅の星という位置に石を置いた状態から勝負が始まっていたとか、初手は白だったなど、諸説があります。この物語では、「白黒」と名付けたことから初手は白、最初に石を置く時のケンの心情を書きたいがために勝負開始時の置き石は無しとしました。物語の見せ場となるケンとクレの勝負については、囲碁を舞台にした名作漫画である「ヒカルの碁」第一巻でも使用された(藤原佐為VS塔矢アキラ初戦)、本因坊秀策と同じく秀和の対局を用い、黒番白番を逆転させています。囲碁をご存じの方は、棋譜(勝負の進行を記したもの)などご用意の上でお読みいただければ、更なる面白みに気が付いていただけるでしょう。囲碁については長男が小学一年生の頃から長女の囲碁学習卒業まで、付き添い目的で10年近くに渡って習い、教則本だけでなく歴史的展開についての書物も読み漁りました。五段の本棚一つ分収集してきた本もこのような機会に生きてくることを思えば無駄な出費ではなかったと感じています。

さて、23歳の頃より20年以上に渡って、オリジナルと言える題材を求めて人生を過ごしてきました。物語が降りてきた時点で始めから最後まで話が出来上がっていた為、私自身は既に出来上がっている話の筋をセリフと状況説明で埋めている作業をしているだけとも言えます。これをもってオリジナル作品と言えるかどうかは何とも難しいところではあります。しかし、部分的にはともかく、全体を通してみれば、私の人生を通してのみ書き得る物語と言って良いのではないのでしょうか。離され島の子供達。彼らの冒険はまだまだ続きます。今後も楽しんでいただければ何よりの喜びです。

 

2021年8月9日 ug

第一部は下記リンクから。AMAZON Kindle unlimited会員様は追加料金無しでお読みいただけます。

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