オリジナル小説

棚田の恋

棚田の恋1-3.贈り物

「どのくらい収穫できるのですか?」 水をくれた男性にした質問を思い出す。 「いやー、たいして獲れないよ。天然の肥料しかやらないし、ここは冷たい水を流しっぱなしにするから生育が遅いしね…
草原のチャド

草原のチャド1-6.激突

死ぬってそれほど痛くないものなのだという思いが一瞬頭をよぎったものの、その時になって音はもっと上の方で鳴ったのだと気がついた。顔を上げようとしたその時、上から重いものが降ってきた。毛皮の柔らかさとぐにゃりとした感覚がチャドを襲った。
棚田の恋

棚田の恋1-2.棚田

棚田と言えば日本海側の、米の生産地として有名な地域に残っているくらいのものだと思っていた。 「こんな場所に棚田があるのだな」 普段生活している場所からほんの少し足を延ばすだけで、観光旅行で訪ねるような風景に出会えたことに良太は驚いていた。
草原のチャド

草原のチャド1-5.絶対絶命

蜃気楼は遠くの景色をまるですぐそこにあるように見せていた。いつも見ている草原のほんのすぐ先に、湖とナツメヤシの茂る素晴らしい場所があるとチャドはかんちがいしていたのだった。チャドは周囲を気にすることも忘れてどんどん進んだ。
草原のチャド

草原のチャド1-4.蜃気楼

大きな大きな水たまりが揺らめきながら中空に浮かんでいた。水面に太陽の光が反射してキラキラ輝いているのがわかった。 それは蜃気楼だった。
棚田の恋

棚田の恋1-1.週末

社会人になって5年。恋人もいない良太は、週末になるとデジタルカメラを持って特にあてもなく出かける日常を送っていた。スマホでなくデジタルカメラなのは、ついでのものではないちょっと特別な存在としての写真を撮りたいからなのかもしれない。
草原のチャド

草原のチャド1-3.独り立ち

大きくなるにしたがってチャドは自分のことは自分でやるようになっていった。そしていつしかチャドも力のある若いオスの役割を負うようになっていた。
草原のチャド

草原のチャド1-2.成長

 少し大きくなり、わずかながらでも自分で餌を取れるようになると、チャドは母親から徐々に離れ、子供同士で遊ぶようになった。一緒に暮らす年配の仲間ともよく話しをするようになった。年上の仲間から自分の知らない話を聞くのは楽しくてためになった。
草原のチャド

草原のチャド1-1.誕生

スポンサーリンク 700万年遡る、人が人になる前の遠い昔の物語です。 その朝、赤ちゃんが生まれた。こげ茶色の毛で全身を覆われた小さな赤ちゃんは、地平線から顔を出した太陽の最初の光を一身に浴びて、まるで輝くようだった。母親はその子をチャドと名...
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