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離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」3-7.

最初の一手のあと、ケンは手のひらを返して右手の人差し指と中指をじっと見た。 「石を置くって、こういう感触なのだな」 しみじみとした口調で自らに言い聞かせるようにケンはつぶやいた。 「なんだ、お前は本当に白黒を初めてやるのか?」
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」3-6.

最初の一手のあと、ケンは手のひらを返して右手の人差し指と中指をじっと見た。 「石を置くって、こういう感触なのだな」 しみじみとした口調で自らに言い聞かせるようにケンはつぶやいた。 「なんだ、お前は本当に白黒を初めてやるのか?」
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」3-5.

「コウ、サイ、頑張って!あと少しよ!」 テラが度々振り返りながらコウとサイに声をかける。二人の少女は一所懸命足を動かすものの既に息が上がり、喉が発する息の音が痛々しい。
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」3-4.

「ラウト行くよ」 僕とケンはラウトの脇に肩を入れて身体を持ち上げた。一歩、また一歩と階段の登り口に近づいていく。遠くから聞こえてくる兵達の足音に胸の音が高まるのがわかる。 「兵が来る。急げ!」 後ろからリキが声をかけてきた。
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」3-3.

ソウと女の子達の隊、リョウ、ケン、そして、ラウトの隊、単独のリキ、計三つの隊が別々に行動する。向かう先は台地に上がる階段だ。別れて行動することで目立たないようにする。万が一失敗した時に残った隊は関係がない振りをすることで話が決まっていた。
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」3-2.

ポンチョが船から投げた箱には二本の剣が入っていた。一本はもちろんリキが使う。 「ソウ、三人の中でお前が一番強い。一本はお前が持て」 突然の話に、ソウは驚いてリキの方を振り返った。
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」3-1.

「見たな」 ゆっくりと近づいて来ながらクレが言った。僕とケンは彼の気迫に押されて身動き一つできなかった。異様な雰囲気を察して周囲の人々が僕らから遠ざかる。少し離れた所で丸く囲うように人垣ができた。
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」2-9.別バージョン

一歩、 細長く伸びた背の低い炉、座っている一人の男、右手にはこて、炉で熱せられる鉄塊、ふいごの取手が動く、黄色い炎、舞い散る火の粉、槌を構える二人の男。 二歩、 背後に続くケンの気配、炉から取り出される鉄塊、槌が持ち上げられ、
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」2-9.

最初に目に入ったのは、細長く伸びた背の低い炉とその手前に座っている一人の男だった。男の右手にはこてが握られており、そのこては、鉄の塊を挟んでいた。鉄塊は今、炉で熱せられている。男の左手は炉に風を送るふいごの取手を握っていて、ゆるやかに前後していた。
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」2-8.

翌朝、ラウトが中々起き上がれないという事態になった。離され島や彼の島ではいつも元気一杯だった彼がなぜこんなことになってしまったのか。「雨でもないのに星が見えないなんて」夜中、ラウトの口からうわごとが漏れるのをケン、ソウ、そして僕も耳にしていた。
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