オリジナル小説

棚田の恋

棚田の恋2-2.再会

陽子は手慣れた感じで車を発進させて、国道に乗り入れた。マニュアル、4WDの車だった。そのまま無言でアクセルを踏む陽子。良太は彼女の顔を見たい誘惑にかられたものの、陽子が見つめるフロントガラスの向こうを同じように眺めていた。
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」1-9.

王の一隊が通り過ぎてからも人々の興奮は治まらなかった。大声で話す男達。寄り添い歩く男女。見たことの無い光景に僕らは戸惑うばかりだった。居たたまれない気分に皆が満たされていた。そんな中で最初にいつもの様子に戻ったのはソウだった。「腹減った」
棚田の恋

棚田の恋2-1.活路

米農家を首になったものの、良太は東京には帰らなかった。ここまで来たのだから、田んぼで米を作りたい。その思いが良太の心を占めていたのだった。良太は工場での仕事を見つけて働きだした。
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」1-8.

陸地に上がってほっとしたのもつかの間、遠くから何かを叩いたような大きな音がして僕らを驚かした。同じ方向から沢山の人が叫んでいるような声が聞こえた。「行ってみよう!」ラウトが走り出したので、僕らは慌てて後に続いた。
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」1-7.

その朝目覚めると、次々に形を変えながら凄い速さで動いている雲が目に入った。前の晩までは追い風と潮の流れに乗って順調に進んでいたはずの筏が、元来た方向に徐々に流されている。リョウは立ち上がろうとしたが足元がおぼつず、立つことができなかった。
棚田の恋

棚田の恋1-9.失業

良太は、地元の農薬散布業者に手伝いとして貸し出されたのだった。「薬剤はおめーからな。わけー人めつかってえがったな(薬剤は重いから、若い人が見つかって良かったね)」良太は液体の薬剤をかき混ぜる役を仰せつかった。
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」1-6.

僕らはラウトにお母さんがいないことを思い出してうつむいた。「君達と出会う前に僕は大きな陸に行ったのだ。その時にちょうど、沢山の兵士が並んで歩くのを見たのだよ。皆、腰にリキが持っていたような剣を下げていた。凄かったな」
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」1-5.

夕食後、僕らはラウトの小屋に向かった。村に帰りたい気持ちをラウトのお父さんに伝え、もう少し待てと言う意味を聞いてみようと考えたのだった。ラウトのお父さんが待てと言うのならば、待った方が良い理由があるのだろうとケン僕は考えた。
棚田の恋

棚田の恋1-8.除草隊

良太はおしゃべりな女性陣から幾多の質問を受けた。「なして、ここさ来たの?」「米農家さ、継ぐだか?」「どこさ、住んでるの?」「結婚してるだか?」最後の質問はいつも決まっていた。「誰か良い人いないの?(付き合っている人はいないのか?)」
離され島冒険記第二部「大陸へ」

離され島冒険記第二部「大陸へ」1-4.

テラ、ケン、そしてソウの寝息が耳に付く。僕は夕食時の村に帰る話が引っかかって眠ることができなかった。ラウトのこの島は山の麓にある僕らの村に比べてとても暮らしやすい。海に囲まれていて冬でも暖かいこの島では、食べ物の心配をする必要がないのだ。
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